Thursday, September 3, 2009

スタートアップのStep in strategy

雑学ですが、新規参入戦略を英語で言うと

△ Entry strategy
◎ Step in strategy

らしいです、カッコよさの問題ですが。
こういったカッコイイ英語を話せるようになりたいです

さて、本題です

スタートアップには市場は2種類しかない

新しく事業を立ち上げようとしたときによく使われる切り口で、顧客軸と製品軸の2軸を取り、新規か既存という切り口で市場を捕らえるフレームワークがありますよね、「アマゾフのマトリックス」といわれてるやつです



これってスタートアップには半分しか当てはまらないです。当たり前ですが、スタートアップ企業には既存顧客がいません。基本、新規顧客を開拓するしかないんです

だから2軸でなく、単純に

・エマージングマーケットか
・エスタブリッシュドマーケットか

の2つしかないです。観察してみると、当たり前ですがすべてのスタートアップがどちらかの市場で戦っています。そして、面白いことにどちらのマーケットを選ぶかにより戦い方が全く違っています


エマージングマーケットにおけるスタートアップの戦い方

極論ですが、概して根性があって人当たりがよく長時間労働をモノともしないタイプの人が勝っているように思えます。そして、それこそがエマージングマーケットにおけるスタートアップの戦い方でしょう

エマージングマーケットは市場の将来性があり、参入障壁が低い場合が多いため、参入者は多いです

数年前ならウェブサービスとかネット広告の販売とか。その前は人材派遣。最近だと、リチウムイオン電池(電気自動車の動力)も熱い新興市場ですよね

エマージングマーケットは確かに将来性があって魅力的です。ただ、その市場の拡大をあてに参入するプレーヤーが多く、概してレッドオーシャンになりがちです。参入者が多い中でシェアを取ろうとするから、利幅を削ってでも規模を取りにいきます

例えば、とても注目されているリチウムイオン電池市場。ファンドの視点で見るとIRR(投資金額に対するリターン)がたったの15%しかなく(多くのファンドでは最低ラインが20%と聞いたことがあります)、魅力的な投資先ではないみたいです

SEOやウェブ広告枠を売る会社も私の知り合いのところはだいたいかつかつの利幅で商売してます

エマージングマーケットはシェアを取りにいき、淘汰競争に生き残って将来的に大きな利益を得る、というのがキーサクセスファクターなので、大きな投資をするか、24時間みんなが働くか、どちらかしかありません。

お金のないスタートアップはたくさん働く道しかありません。だから、どうしても労働集約的になりがちに思えます


エスタブリッシュドマーケットにおけるスタートアップの戦い方

成熟市場への参入するスタートアップは、新たな仕組みを築き既存プレーヤーとの差別化できた会社が成功しています。つまり、知識や知恵を武器に戦うのがエスタブリッシュドマーケットでのスタートアップの戦い方ではないでしょうか

すでに確立され寡占化が進んだ市場で、正面から大手に勝負を挑んでも勝てる見込みはないですよね。投資額も違えば、経験地も違う。コストでの勝負も、品質での勝負も結果は目に見えています

では、どこで戦うか。参考になるのが、ライフネットやアマゾン、VIZIOです

ライフネットはご存知かと思いますが3年前にできたネット保険の会社です。保険業界という成熟市場に参入し猛烈な勢いで成長しています。2008年にサービスを開始し、1年で顧客を20倍に増やしています

なぜ拡大しない市場で急成長できるのでしょうか

それは成熟した市場で、ネットというツールを使って新しい仕組みをつくりだし(営業をおかないことでコストを激減させています)、大手が太刀打できない価格でサービスを提供しているからです

アマゾンも本屋という古い業界にインターネットという新たなツールを持ち込み、本屋の構造を変えて成功しました。その後もキンドルで出版業界の仕組みを作り変えようとしたり、EC2/S3でデータサーバー業界の仕組みを作り変えようとしています

VIZIOは製造業(フラットテレビ)という確立された業界に工場を持たない仕組みをつくり、大手では実現できない安いフラットテレビを作りました。結果、たったの120人の会社が世界のフラットテレビ業界でシェアNo1を実現しています

このように成熟市場に参入して成功を収めるには、仕組みを作り変えるための知恵と知識が最大の武器になると思います


魅力的な市場

昨日エマージングマーケットで戦うベンチャー企業で働いている友人がとても興味深いことを話していました

・過去の失敗で多かった事業は、市場が立ち上がると思って参入したけれども実際には立ち上がらなかった

・新しいビジネスをはじめたけれども、大手広告代理店が内部でやっていて結局客をとれなかった

エマージングマーケットは競争が激しい上に、立ち上がるかどうかわからないという怖さがあります。マーケティング用語でキャズムってやつです。

↓ 空白ゾーンがキャズム。この空白を超えれないと市場に浸透しない



一方で、エスタブリッシュドマーケットは少なくとも製品は十分に浸透しています。それも市場規模が圧倒的にでかいです。

例えば生命保険、市場規模は45兆円、日本のGDPの約10%。私がやろうとしている印刷市場は6兆円です


カリスマ性があるリーダーはエマージングマーケットが魅力的でしょうが、私のタチからすると成熟市場が魅力的ですし、勝算が高いように見えます

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