Wednesday, September 2, 2009

価値の将来

最近、「価値」って何なのか、人が何にお金を払うかをよく考えます。

尊敬する先輩でヘッジファンドのアナリストが半年前に、
”世の中にモノが溢れすぎて、これ以上物欲ってないよね。モノから経験に価値が移っているんじゃない”
と話していました。そのときは何を言っていたのか分からなかったけど、最近その通りだなーとつくづく共感しています。

同じようなことを言っている名著に最近出会いました



これからの時代のイノベーションは
・顧客との経験価値の創造
・外部資源の活用
が鍵となってくる、という内容の本です


「不」はもうない

普段の生活で不便さは感じません。当時の自動車やテレビ、一昔前のインターネット、のような新たな成長市場はこれ以上生まれるでしょうか?高度成長期のように不便さを解消する新しい家電製品が生まれるでしょうか?

おそらくそれはとても困難なことです。なぜなら価格はいかにあれ、お金さえあれば不を感じない暮らしができるだけのモノがあるからです。「不」はどこにあるのでしょうか、もうないのではないでしょうか。

人類史の長い歴史を通じて「価値」はモノによって生みだされてきました。「不」を解消するモノの発明です。でも、既に「不」は解消されモノが溢れています


これからの時代の価値

ではこれからの時代、人は何に価値を置くのでしょうか。大きな2つのトレンドがあるのではと考えています

1つは、  「安さ」
もう1つは 「経験」
です

そして、その価値を作り出す主役がITです。

技術の発展によって、情報の移動スピードは文字通り「ひかり」になり、通信コストはスカイプしかりほぼただになりました。この2つのインパクトが、新たなIT革命を生んでいます。

結果、「安さ」と「経験」という大きな2つの新しい価値を生み出し、モノが溢れた次代の消費者に新たな「価値」を提供しています


構造変革による低価格価値

情報がただで瞬時に世界中を移動できる時代がやってくると、モノの流れが変わって、価格のありかたに地殻変動がおきます

かばんを銀座で買うより楽天で買った方が同じものでも安くかえます。銀座で買うかばんには一等地の家賃やきれいなお姉さんのお給料がのっかってますが、楽天のかばんは舞浜の倉庫代とパートのおばちゃんの時給780円だけです

モノがコモディティー化してしまった時代、つまり商品がどんなものか想像がつくので、どこで買おうが安ければそれでいいはずです

だからネットでの商品販売額が百貨店の市場規模を抜いたのでしょう

ビジネスの世界であれば大塚商会や光通信といった、コピー機やPCなどコモディティーの販売会社も存在価値がなくなるのではないでしょうか。彼らを通さなくとも製品は買ったりリースしたりできます

コモディティー化してしまった多くの製品市場で、ITを利用し今ある仕組みを組みなおすことで価格の低減が行われるでしょう。ついでに言うと、その主役はアマゾンだと思っています


1人1人にカスタマイズした経験価値

モノはコモディティー化してしまったんで安ければそれでいい。では、高い価値を感じるものは何か、それが経験です

例えば、ニコニコ動画。残念ながら収益モデルは見えていないものの、作り手として参加することで自分にしかできない経験を得られるという意味で経験価値がある、だからこそユーザーがとても伸びています。オープンクリエーションといわれるもの全般ですかね

ビジネスの世界なら、ブリジストンがコカコーラやUPSなどタイヤを提供しているフリートに対し、トラック1台1台の走行ルートや運転のデータをシステムを通じて収集して適切なアドバイスをしている、とか。これも個別経験の提供です

こういった、個別性の高い経験、コモディティー化されない経験がこれからの時代「価値」を持っていくのではないでしょうか


ビジネスの将来

-これからのビジネスは市場の仕組みを壊して再度作りなおす、のか
-顧客一人一人に特別な経験を提供できる、のか

どちらかにスタンスをとった会社が伸びるのではないでしょうか

No comments: